熱海に続々と建設される温泉付きの大規模マンションの売れ行きも好調である。
地方中核都市でも、地下鉄の建設と私鉄やJRとの相互乗り入れで、通勤圏は拡がっている。
土地の「勝ち組」と「負け組」このように地下鉄をはじめとする交通機関の発達は、都心のより便利な地域への人口の集中を促している側面もある。
いっぽう、採算性の高い地域への新線建設がさらに進み、利便性の高くなった地域と取り残された地域の格差はより大きくなっていく。
このことは、都心部へのオフィスの集中と交通が不便な地域の過疎化を促進し、不動産価格の動向にも反映される。
たとえば、平成一三年に開業したO線沿線の開業前後の中古マンション価格の変化は、開業によってなどのブランドカの高いところは地価が上昇し、その他のエリアでは開業後ある程度の期間が経過したのち、他からの人の流人で街が活性化し地価が上昇しているところと、そうでないところがある。
交通網が充実していて、都市部のアメニティがよい地域を中心に地価が上昇してに東京二三区内でも交通が不便なところは取り残され、地価は下落していく。
いる。
もっとも、昭和四八年施行の大規模小売店舗法(大店法)によって、商業施設への規制が大幅に緩和され、大型駐車スペースがある大規模なショッピングセンターが全国各地にでき、それによって街の商業圏が変わっている。
私はしばしば岩手県の安比高原に出かけるが、東北自動車道をMインターで降りてすぐ、M駅へ向かうバイパス沿いに、Iショッピングセンターができた。
駐車スペース二八〇〇台。
衣料品、生鮮食料品、薬、宝飾雑貨を始め、各国料理のレストラン、インストアベーカリー、英会話学校、銀行、郵便局、歯科医院など、暮らしに必要なあらゆるテナントが入居していて、いつ通っても地元の人が大勢来店して賑わっている。
この集客力にあやかるように、ブックオフやカー用品のイエローハットなどが次々にオープンし、車で行く商業ゾーンが新しくできあがった。
地方では一人一台の車社会になっている。
さらにバイパスを南下して北上まで行けば、そこには七つのスクリーンを揃えたシネマコンプレックスを併設した大型ショッピングセンターもある。
いっぽう、M市内中心部のかつては賑わいを見せていた「大通り商店街」は、いまでは多くの店がシャッターを閉めていてシャッター通りといわれるようになった。
このように商業圏が大型ショッピングセンターを中心にして活況を呈する風景は、全国各地に見られる。
Mでは車で四〇分も行けば、昼間から雨戸を閉めた戸建ての空家が見受けられる。
地方都市の商店街が寂れていくのは、車社会になったことと、人が駅近の分譲マンションに移り住んだこと、若者が大都市へ移っているためである。
R社、Y社、A社、B社などのインターネットを利用したオンラインモール(電子商店街) への出店販売も増え、テレビのショップチャンネルによる通販、新聞広告による産地直送などもある。
街の商店の顧客は減るいっぽうだ。
三大都市圏を除く人口二〇万人以上の都市では、街の中心部の事業所数が一〇年間で約一五パーセント、人口も一〇パーセント減少している。
こうした流れに歯止めをかけ、街の中心部への人口回帰を促そうと、国土交通省と経済産業省は、大型商業施設の郊外立地を規制する法案の検討に入った。
与党も規制強化に前向きで、平成一八年の通常国会で都市計画法、中心市街地活性化法改正の方針を決めた。
詳細が決まるのはこれからだが、比較的まとまった土地を手当しやすい「非線引き白地」の規制、大型店舗建設の制限、農地からの転用制限などが検討されている。
さらに平成一八年度予算でも、国土交通省の重点施策の柱のひとつとして「街なか居住の促進等による中心市街地の再生」をテーマにした予算措置を講じている。
シャッター通りとなったところの事業所の中には、債務が返済できなくなったところもあると思う。
幸い商店街は街の中心部にあること、加えて結束力がある。
問題を解決するために、商店街の土地の所有者・地権者の間で話し合いがなされ、一階が店舗、その上が高層の分譲や賃借の集合住宅といった再開発が行なわれていくだろう。
その結果、地方都市でも中心部に人が移り住む流れがあり、郊外は空家が増え、過疎地の地価はさらに下落していく。
長引く景気の低迷への対処から、政府は税制上の優遇措置と住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫、以下機構と略)の住宅ローンを設け、購入者の金利負担を下げるという持家促進政策を長期間とり続けてきた。
家を買えば家電製品や家具などの買い替え需要で、景気にプラスに働く。
日本住宅生産団体連合会は、「住宅減税・低金利政策による住宅着工の増加とその波及効果」という提言をまとめた。
それによると、減税や低金利によって住宅着工数が一〇万五〇〇〇戸増えれば、住宅の直接投資効果は三兆円近くに達し、GDPを〇・五パーセント押し上げ、耐久消費財需要二一〇○億円を誘発、最終需要は六兆円に及び、二四万人の雇用拡大につながるという。
住宅投資の拡大が景気の拡大にプラスに働いたのは間違いない。
とくに公共投資の削減で苦悩するゼネコンの経営改善に大きく寄与した。
住宅取得にあたって、税制上どのような優遇措置が講じられているかについてふれる。
まず、一般に住宅ローン控除と呼ばれる「住宅借入金等特別控除」がある。
これは機構や銀行などの住宅ローンを使って新築住宅を購入、あるいは既存の住宅(含土地)の増改築をした場合に、一定の要件を満たせば、年末現在のローン残高の一定割合を所得税(所得税相当額の住民税も含まれるが以下所得税と略)額から控除できる、つまり、古い住宅を売却して損を出し、借金をして新しい住宅を取得すれば所得税を払わなくてよい制度である。
当初は平成一一年一月一日から一三年六月三〇日までの二年半に居住用に供した場合に限られていた(控除期間は一五年間)が、その後二回延長され、現在では平成二〇年コー月三一日までに居住用に取得した場合は一〇年間控除(平成一九年から一〇年間と一五年間の選択性)になった。
平成一〇年には、居住していた所有期間五年超の住宅を売却して新しい住宅に買い替えたケースでは、古い住宅の売却損を他の所得と相殺でき、売却年に相殺しきれない場合、三年間繰り越して所得から差し引く、つまり、売却損相当額を所得から控除できる制度が導入された。
住宅を買い替えれば、所得税がかからない制度の導入である。
例示して説明する。
郊外から都心に住み替える、あるいは都内のよりよい場所に住み替えるため、郊外に過去に購人した住宅を売却し、一八〇〇万円の売却損が出たとする。
その人の課税対象となる年間の給与所得が六〇〇万円であれば、その年の所得税と翌年および翌々年の三年間の所得税はゼロになる、という制度である。
この制度の導入で、都心部のマンションの売れ行きが好調となり、マンションの買い替えブームとなった。
この制度も時限措置だったが、これまでに三回延長され、平成二一年コー月三一日までに売却したものまでが有効となっている。
この税制改正は、高額物件への買い替え需要促進策である。
この結果、郊外の中古住宅相場は急速に値下がりしていった。
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